11月8日の株

 日経平均は続落。105.34円安の32166.48円(出来高概算22億1700万株)で取引を終

えた。前日の米国市場で長期金利が低下した流れを受けたハイテク関連株買いが相場

を支え、日経平均は取引開始直後に32512.17円まで上げ幅を広げる場面があった。た

だ、心理的な節目の32500円水準では強弱感が対立し、次第に利食い優勢の流れとなっ

た。後場に入ると、日銀総裁の発言を受けて軟化し、先物売りが断続的に出たことも

相場を冷やし、32049.34円まで下落し、32000円割れ目前に迫った。その後は今夜に予

定されるパウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長の講演などを見極めたいとの見方

もあり、模様眺めムードが広がった。

 

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄が1200を超え、全体の7割超を占めた。セク

ター別では、その他製品、医薬品、空運、電機機器など8業種が上昇。一方、石油石

炭、鉱業、パルプ紙、銀行、電気ガスなど25業種が下落した。指数インパクトの大き

いところでは、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>、リクルーHD<6098>、

任天堂<7974>、横河電<6841>が堅調だった半面、ソフトバンクG<9984>、バンナムHD<7832>、ファナック<6954>、トヨタ<7203>、信越化<4063>が軟調だった。

 

 前日の米国市場は、金融引き締めの長期化観測が後退し、長期金利が低下。ハイテ

ク関連株中心に買われ、主要株価指数は上昇した。この流れを受け、東京市場も半導

体関連などグロース株中心に値を上げる銘柄が増え、日経平均の上げ幅は一時200円を

超える場面もあった。しかし、植田日銀総裁衆院財務金融委員会で「物価見通し、

誤りがあったことは認めざるを得ない」などと述べたことから、バリュー株への売り

圧力が強まった。

 

 今夜に予定されるパウエル米連邦準備制度理事会FRB)議長の講演が注目されてい

る。先週の米雇用統計などの経済指標が市場予想を下回る弱い結果となり、追加利上

げ観測は大きく後退した。しかし、前日のFRB高官らの発言では、強弱感が対立してお

り、追加利上げに対して見方が分かれているだけに、パウエル氏の発言次第では、再

び米金利が上昇に転じる可能性もありそうだ。

 

 銀行株は米長期金利の低下で売られたという解釈は、過去の経緯をみれば瞭然で全くピント外れである。下落の背景については海外機関投資家の「失望」を挙げる市場関係者もいる。何に失望したのかといえば、それは三菱UFJが行った「預金金利の引き上げ」であるという。今月1日に三菱UFJは10年の定期預金金利を0.2%に引き上げることを発表した。それまでの金利0.002%からみれば100倍の水準とはいっても、預金する側にすれば1000万円を10年寝かして2万円の利子しかつかないのでは、物価高を考慮すれば魅力をほとんど感じないというのが本音。ところが、これについてネット証券大手のアナリストは海外ファンド筋から次のように言われたという。

 

 海外筋いわく、「米系金融機関では預金流出を危惧するような特殊な事情がない限り、そう簡単には預金金利を引き上げない。利ザヤを獲得する機会を自ら減らすことに慎重である。まして、日本の銀行は10年債利回りが依然として1%にも届かない状態で預金金利を引き上げるというのは早過ぎるし、株主目線で言えば売却を考える」。確かに、今後金利が上昇する過程で銀行が保有する債券価値は低落するのに、運用環境で利ザヤを貪欲に取りに行かなければメリットは何も残らない。しかもトップの三菱UFJが率先して預金金利を引き上げれば、他行も追随する必要性に迫られる。このネガティブシナリオが連鎖して、きょうの銀行株総売りのトリガーになったという。

 

日経平均   32,166.48    -105.34   (-0.33%)

TOPIX          2,305.95       -26.96     (-1.16%)

騰落レシオ(25日)  93.12

 

監視銘柄

(4503)アステラス製薬  1791    +8    (+0.45%)

(7203)トヨタ自動車   2757   -75   (-2.65%)

(3003)ヒューリック   1373.5   -21.5   (-1.54%)

(9432)NTT   168.3    -6.6   (-3.77%) 

(7189)西日本FH   1716   -139   (-7.49%)

(8766)東京海上   3353   -61   (-1.79%)

(8252)丸井G   2379.5   -18.5   (-0.77%)

(8593)三菱HCキャピタル   956.9    -29.5    (-2.99%)

(7182)ゆちょ銀行   1339   -43.5   (-3.15%)

(8306)三菱UFJ   1207.5   -52.5   (-4.17%)

(3105)日清紡HD   1087   -22   (-1.98%)

(9303)住友倉庫   2319   -17   (-0.73%)

(6503)三菱電機   1879    -13   (-0.69%)

(1911)住友林業   3492   -36   (-1.02%)

(7272)ヤマハ発   3646   -218   (-5.64%)

(6448)ブラザー   2449.5   +62   (+2.60%)

(8002)丸紅   2254.5   -62   (-2.68%)

(6141)DMG森精機   2535   -27   (-1.05%)

(9140)商船三井   3710   -109  (-2.85%)

 

取引  (4503)アステラス製薬   1791   10株   買

買付金額   7,800,398

評価損益合計   +6,893,420   (+88.37%)