GPIFがこのほど開示した2022年度の業務概況書によれば、1〜3月の運用収益は10.3兆円となった。黒字は5四半期ぶりで、国内外の株価上昇が寄与した。
こうした中、3月末の国内株式の比率が24.49%だったことが市場で注目された。外国債券や外国株式(いずれも24.3%台)をやや上回るものの、基本ポートフォリオで定めた25%を下回っている。
GPIFをめぐっては、株価の大幅な上昇に伴う日本株のリバランス売りがマーケットで強く意識されている。実際、東証・投資部門別売買状況によれば、年金の動向を映す「信託銀行」は4〜6月に日本株(現物)約2.7兆円を売り越している。
<4〜6月でリバランス一巡か>
ただ、GPIFの各種資産に、それぞれのベンチマーク指数の変動を当てはめSMBC日興証券が推計した6月末の国内株式比率は26.1%だ。これに基づけば、基本ポートフォリオの25%を維持するのにGPIFが4月以降売る必要のあった日本株は2.3兆円程度にとどまる。信託銀行による売りのすべてがGPIFによるものではないとはいえ、リバランスは大部分が既に執行されたと考えられる。
日経平均株価はこの日の前場、前日比90円高の3万2279円で引けた。直近の下落に対する戻りは限定的だが、もう1つの需給面の不安要素になっていたETF(上場投資信託)運用会社による分配金のねん出売りを前日までに消化している。GPIFの売り圧力も低下することで、市場心理が改善する展開も想定される。
個別銘柄では、時価総額の大きいトヨタ自動車<7203.T>や、GPIFなどの年金基金が3月末時点でオーバーウエートにしていた可能性が相対的に高い東京エレクトロン<8035.T>、NTT<9432.T>、オリックス<8591.T>、日立製作所<6501.T>、第一生命ホールディングス<8750.T>、アステラス製薬<4503.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>などの需給改善に期待したい。
日経平均は6日ぶり小反発。10日の米株式市場でダウ平均は209.52ドル高と4日ぶり
反発、ナスダック総合指数も+0.18%と4日ぶり小反発。連邦準備制度理事会(FRB)
の追加利上げを警戒した売りが先行したが、その後金利が低下したことで買い戻しが
優勢になった。景気敏感株を中心に堅調に推移した一方、ハイテクは半導体株を除い
て売り買いが交錯した。なお、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+2.06%と大
幅に続伸。上場投資信託(ETF)の分配金捻出に伴う売りが一巡したことや米SOX指数
の上昇を背景に日経平均は244.94円高からスタート。しかし、為替の円高が重石とな
り、32500円に近づくと戻り売りに押される一進一退の展開が続いた。前引けにかけて
失速し、後場後半には一時下落に転じた。ただ、32000円近くからは押し目買いや買い
戻しが入り、大引けにかけては下げ渋った。
大引けの日経平均は前日比13.84円高の32203.57円となった。東証プライム市場の売
買高は13億3223万株、売買代金は3兆1719億円だった。セクターでは水産・農林、金属
製品、精密機器が上昇率上位に並んだ一方、輸送用機器、電気・ガス、医薬品が下落
率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の39%、対して値下がり銘
柄は56%だった。
日経平均 32,203.57 +13.84 (+0.04%)
騰落レシオ(25日) 97.52
監視銘柄
(4503)アステラス製薬 2049.5 +11.5 (+0.56%)
(7203)トヨタ自動車 2211 -49 (-2.17%)
(3003)ヒューリック 1199 -13.5 (-1.11%)
(9432)NTT 163 -3.9 (-2.34%)
(7189)西日本FH 1402 -1 (-0.07%)
(8766)東京海上 3249 -30 (-0.91%)
(8795)T&DHD 2167.5 -54 (-2.43%)
(8593)三菱HCキャピタル 861.7 -3.8 (-0.44%)
(7182)ゆちょ銀行 1133.5 +2.5 (+0.22%)
(8306)三菱UFJ 1052 -6 (-0.57%)
(3105)日清紡HD 1199 -4 (-0.33%)
(9303)住友倉庫 2379 +7 (+0.30%)
(6503)三菱電機 2002.5 +5 (+0.25%)
(1911)住友林業 3288 -15 (-0.45%)
(5706)三井金属鉱業 3239 +1 (+0.03%)
(6448)ブラザー 2085 +10.5 (+0.51%)
(8002)丸紅 2372.5 -22.5 (-0.94%)
(6141)DMG森精機 2394.5 -15.5 (-0.64%)
(9140)商船三井 3528 -53 (-1.48%)
取引 NTT 165.5円 100株 約定
買付金額 7,443,518
評価損益合計 +7,286,600 (+97.89%)